魚に塩

横浜流星さんを好きになったもちこの日常

映画「きみの瞳が問いかけている」

最近、横浜流星さんを好きになりました。

はじめて意識したのは8月の終わり。がっつりハマったのは9月の半ば。

 

そんな私が、吉高由里子さん・横浜流星さんW主演映画「きみの瞳が問いかけている」を観てきたので、感想を書きたいと思います。

 

以下ネタバレだらけです。ご注意を。

 

 

 

 

まず、作品全体について。

 

暗い部分、影の部分は確かにずっしりと存在するけど、作品全体を通して温かい光と香りに包まれた映画だなと感じました。まさに明香里ちゃんのお名前のような。特に2人が想いを重ねていくシーンには明香里ちゃんのようなやさしい光があって、闇の存在だった塁を温かく照らしている感じ。私(観客)には直接伝わらないはずのおいなりさんの味や金木犀の香りがじんわりと記憶に残るのもステキな感覚でした。(あの塁のおいなりさんパクパクのシーン、キュッと上がった口角が最初に観たときから妙に心に残ってる。大好きなシーンです。)

きみのめは2人のラブストーリーだけどそれだけじゃなくて、2人それぞれが自分の罪(と感じているもの)とどう向き合ってどう自分を赦していけるのかいけないのかというところもひとつのテーマだったのかな。特に塁にとっては、「きみの瞳」を見つめるとそこにはぼんやりと自分の姿が映っていて。「きみの瞳が問いかけている」ことは自分からの自分への問いかけなのかなとそんな風にも感じました。自分を赦していないのは自分だけ、なんですよね。

ひとつひとつの出来事・小道具がラストに向かう中でのパズルのピースになっているのもすっごくよかったです。特に初めて観たときは、「ここでこれが…!」「あーあのできごとが!」と話が進むに連れて2人の思い出がどんどん思い起こされてたまらない気持ちになりました。

私は先行上映と公開日とで観ているのだけど、初めて観たときと2回目観たときでは作品全体の味わいがまたちょっと違うのも印象的でした。初めて観たときは公式の予告編以上の前情報を入れないようにしていたので、塁の過去も塁の名前も知らなくて、ひとつひとつの事実を知るたびに明香里と一緒に驚いたりショックを受けたりしてソワソワしながら2人を見守っていたのが、2回目は既にいろいろな事実を知っているからこそ塁の表情や言動、2人のやりとりにより多くのものを感じることができたりとか。何気ない言葉のひとつひとつがグサグサと心に刺さってきたりとか。回数を重ねるごとに味わいが深くなる作品ですね。

 

 

次に、吉高さんと横浜さんについて。

 

お二人とも演技すばらしかったです。

「演技」と書いてしまったけど、「いい演技してるなー!」っていうのではなくて。すっごく自然に明香里と塁として生きて、お互いを想い合って。「愛してる」「大切」っていう気持ちが、台詞に頼らない分、表情や全身から溢れ出す感じで。2人を見ているだけで心が温かくなりました。

撮影期間中のお2人は写真やメールで交流も深めていたみたいで。ラブじゃない人と演技でラブラブするのがラブストーリーだけど、役者さん同士の心の距離感ってなんとなく画面にも表れるものなんじゃないかなと個人的には思っているので、良い環境で撮影に挑めるように下地作りをしてくれた吉高さんはとってもステキな女優さんなんだろうなと思います。

 

そして、私がこの作品を観るきっかけになった横浜流星さん。

横浜流星さんを初めて知ったとき、台詞以上に目で語る役者さん、目に本気の気持ちが宿る役者さんだなと感じて、それがきっかけで大好きになったのですが。この作品ではそんな横浜さんの演技の繊細さ、目に込める想いの強さ、表情や声の機微が思いっきり生きていて、なんてステキな作品に巡り合えたんだろうと心の奥が熱くなりました。明香里に出会う前は目が死んでた塁が明香里に出会って交流してお互いの大切な人になってどんどん瞳に光が差していって。一方で、明香里の上司に対峙したときにはまるで獣のように心底怖い、裏社会を生きてきた人!っていう目をしていたり。どのシーンを観ても「あー!こんな姿観たかったんだよー!求めてたのはこれだよー!」と。まさにそんな感じ。

これから先どんな作品でどんな役を演じられるのかがまたとってもとっても楽しみになりました。

 

 

きみのめの中で私が個人的に好きだったシーン。

 

挙げたらきりがないけど、ナンバー1は偶然再会した病室でのシーンかな。

ニッコリ笑って初めましての自己紹介をする明香里のよそ行きの笑顔がめちゃくちゃきれいでめちゃくちゃ残酷で。

核心をつくような台詞は一切ないのに、明香里が塁の体を触って「あれ…この感触…?」ってなってたりでも名前を確認して「違うか…」ってなったり。明香里の心の中には確かに塁がいるのに、でも高橋雄大さんのことは振り向くこともなく病室を去っていく。目が見えるようになったことで逆に見えなくなった何かを感じるシーン。

塁も、しあわせに生活していそうな、あの頃の延長線上にいそうな明香里を見てうれしそうだったり、でも名乗れないから必死に隠して辛そうだったり。気付かれては困るけど気付いてほしくて、でも気付いてもらえなくて言うこともできなくて。塁の心に渦巻くいろんな感情が、声にできない分、涙、表情、指先、全身から溢れ出ている感じ。

あのシーンは明香里と塁のそれぞれの感情がかなしくて何回観てもやられてしまいます。

 

明香里の手術前の2人の会話のやりとりも好きでした。

「子どもの顔見たくない?」「自分の幸せを自分の瞳で見てほしい」っていう塁の、その言葉の裏側にある「そこに俺がいなくても」の覚悟と、そんなこと想像もしていない明香里の「塁と一緒に見たい」っていう純粋な想いの微妙な差異が痛くて。

あのシーンは予告編が上手だなと思ったシーンでもありました。塁は明香里にはもちろん誰にもそんな気持ちであることを打ち明けないけど、あの塁の顔を見てると自然と予告編の「そこに俺がいなくても」の気持ちが流れ込んできてたまらなかった。

手術前に向き合ったときの、これで明香里と会うのは最後と心に決めてる塁の顔。「思ってるよりもブサイクだから覚悟して」って、もう二度と会えないであろう大好きな人に明るさを装って言う塁がたまらない。

 

そして海でのラストシーン。

「名も知らぬ遠き島より」の「椰子の実」の歌と共に海に吸い寄せられていく塁。

 この歌を最初に歌っていたのは明香里だけど、波に流される椰子の実はむしろ塁の人生のような気がして。どこから来たのかもわからず、ただ自分の意志とは関係なく暗い世界に流されていた塁。いつの日か帰る故郷が海の中ではなく明香里のところで本当によかった。明香里が見つけてくれて本当によかった。塁が明香里に向けた無償の愛ももちろんステキなのだけど、それ以上に塁を包む明香里の大きな愛が尊く感じられて、現実的なことを考えると前途洋々ではなさそうな気もするけどきっと2人ならしあわせに暮らしていけるんだろうなとじんわり感じることのできるシーンでした。

 

 

 

そんなわけで、映画「きみの瞳が問いかけている」について私なりの感想をざっくりまとめてみたのですが、映画の中でもうひとつ、号泣してしまったところがありました。

 

 

それがエンドロール。

 

 

吉高由里子さんの名前に続いて「横浜流星」という名前が流れて、そのあとにたくさんの役者さんやスタッフさんの名前が流れていって。ああこんなにたくさんの方々がこの作品に時間と愛情を注いで届けてくださったんだなぁとか、そのど真ん中に吉高さんと並んで横浜さんがいたんだなぁとか、横浜流星さんという役者さんを好きになって応援できてほんとうにしあわせだなぁとか。エンドロールを見ながらいろんなことを考えてしまって涙が止まらなかった。好きになってまだ2か月?経ってない?役者さんに対してどんだけ重たい感情を抱いているんだという感じだけれども。それとも横浜さんが出演されている映画を映画館で観たのが初めてだったからこその感情だったのかな。

これからもたくさんの作品で横浜さんのお名前を拝見できますように。

益々のご活躍をお祈りしています。

 

 

 

 

ところで、ストーリーの本筋とは違うのだけど、先行上映で観たときからつっこみたくてつっこみたくて仕方なかったことがあるのでここに書いてよいかしら。

 

2人が見ているテレビドラマの俳優の髪がピンクなのは監督の遊び心ですか???

特に最初に観たときは、シリアスな重く苦しい作品なのかな、2人にどんな悲劇が待っているのだろうとかなり構えながら観ていたので、その自分の気持ちとのギャップで「監督ー!こんな演出ありですか!」とくすくす?ニヤニヤ?笑ってしまいました。

「かっこいいけど、チャラそう、髪ピンクだし」

それ!横浜さんを全然知らなかった頃の私が横浜さんに対して思っていたことそのままだ!!!笑